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同じ経理でも、会社によって年収が違うのはなぜ?|経理として、給料を上げるには

講師:aqueil株式会社 代表 横林範明約5分で読めます

開催の背景

求人票を見ると、自分と同じ経理なのに、年収がずいぶん違う。「私にはそこまでのスキルがないから」と、応募する前に閉じてしまうことはありませんか。

経理は、毎月の数字が合って当然と思われやすい仕事です。できることが増えても評価につながらず、今の給料が自分の実力に見合うのか、分からないこともあります。同僚と比べて分かるのは、あくまで社内での相場です。

8月26日の「同じ経理でも年収に差がつくのは何か。経理として、給料を上げるには」では、キャリアアドバイザーの横林範明さんを迎えました。上場準備の現場に長く関わってきた経験をもとに、経理の年収と働く環境の関係を聞く回です。

転職先を探すときにも、今の会社でこのまま働くか迷うときにも、自分のスキルだけでは答えが出ません。経理にどんな仕事を任せる会社なのか。その違いを知ると、給料が上がらない理由にも、別の可能性が見えてきます。

横林範明

横林 範明講師Cuelキャリアアドバイザー。IPO支援の現場で26年。上場準備企業や成長企業の採用を見続けてきた知見をもとに、経理として次の一歩を考える方へ、強みの整理から転職先選びまで伴走する。

この回でやったこと

同じ「経理」という仕事でも、働く会社が違うと、こんな差があります。

  • 大きな会社に入っても、幅広い経理を経験できるとは限りません。人数が多いほど分業が進むことがあります
  • 上場を目指す会社では、経理を強くすることが会社の目標に関わります。採用にかけるお金も変わります
  • 自分の給料が変わらない間に、転職市場の年収相場が上がっていることもあります

前半は、昔から市場の大きい成熟産業と、これから伸びる成長産業を比べました。後半は、役割別の年収相場と、参加者から届いたキャリアの相談へ。予定の時間を過ぎても質問が続きました。

扱ったテーマ

  • 業種や事業の成長と、経理の年収との関係
  • 会社の規模によって変わる、任される仕事の幅
  • 上場企業・上場準備企業が経理に求める役割
  • 東京・神奈川での経理の年収相場
  • スキルの伸びと、自分では気づきにくい経験
  • 面接での自己アピールと、会社ごとの仕事の進め方

つまずきやすいポイント

年収の差には、業種と会社が経理に求める役割が関わる

経理の給料は、本人の頑張りだけでは決まりません。どんな事業で収益を上げ、経理にどこまで任せる会社なのかも関わります。

授業で挙がったのは、上場を目指す会社です。株式を市場で売買してもらうには、会社の数字を正しく出せる体制が欠かせません。経理の体制を整えることが上場準備の一部になるため、採用にもお金をかける理由があります。

一方、会社を選ぶときは「自分にできる仕事か」「上司と合いそうか」に目が向きがちです。バックオフィスの転職相談では、事業内容が後回しになる傾向もありました。何を売り、これからどんな成長を目指す会社なのか。経理の担当業務からは離れて見える話も、自分の年収と無関係ではありません。

大きな会社ほど、経験できる仕事が広いとは限らない

会社が大きくても、自分が担当する仕事は一部分ということがあります。経理部に人が多ければ、原価計算だけ、仕訳だけという分業も進みます。

授業では、経理が大人数いる会社と、少人数で担う会社を比べました。少人数の会社では決算に加え、社外に決算情報を伝える開示や、労務・総務まで任されることがあります。仕事の負担は増えますが、経験する範囲も変わります。

ただし、小さな会社なら必ず経験が広がるわけでもありません。司会の齋藤からは、中小企業でも業務の幅が何年も変わらない例を見る、という話もありました。成長産業なら必ず年収が高い、とも限りません。成熟産業のほうが高い場合もあります。横林さんが会社を比べるときに見るのは、入社時の提示額よりも、入社後にどれだけ上がるかだそうです。

社内の給料が変わらなくても、年収相場は変わっている

今の給料だけで、自分が他社でもらえる金額は分かりません。今回示されたのは、東京・神奈川での経理の転職相場です。

授業時点の説明では、東京の相場の下限は、以前の300万円台から400万円へ上がっていました。さらに、会計士と会計上の論点を話し合う仕事や、グループ会社をまとめた決算を担う仕事では、相場の上昇が大きいことも挙がりました。

役職ごとの年収の目安。決算を一人で任されるかどうかで金額の幅が変わる
役職ごとの年収の目安。決算を一人で任されるかどうかで金額の幅が変わる

ここで気をつけたいのは地域の違いです。同じ役割でも、大阪では東京と金額が変わるという説明がありました。全国共通の金額でも、誰にでも約束される年収でもありません。自分の給料と比べるときに、地域や任される役割の前提が抜けると、差の理由を取り違えてしまいます。

スキルが増えていても、自分では気づかないことがある

「私にはスキルがない」という自己評価が、実際の経験と合っていない場合もあります。面談で仕事を聞くと、本人が思う以上に、できることが出てくる。授業では、経理の相談で出会うこうした場面も挙がりました。

反対に、長く働いても任される仕事が変わらず、経験が広がらない場合もあります。それを本人の努力不足だけで説明するのは無理があります。上司が仕事を任せるかどうかでも、経験の積み方は違うからです。一方で、同じスキルのまま年数だけが重なると、転職では不利になりやすい。そこには危機感を持ったほうがいい、という話もありました。

だからといって、環境を変える答えがいつも転職になるわけではありません。授業の終わりには、「辞めたい」という相談を詳しく聞いた結果、今の会社に残る助言をすることもある、という話がありました。本人には不満でも、外から見ると魅力的な会社だった、ということもあるそうです。

質疑で出たこと

何年ぐらい働いたら、ちゃんとした経理に見られますか?

年数ではありません。答えの中心は、決算業務を自分で担えるかどうかでした。仕事を任せてもらえず時間がかかる場合もあれば、上司の退職などをきっかけに短い期間で経験を積む場合もあります。

優秀な経理とは何かを踏まえて、面接で自分をどうアピールしたらいいですか?

スキルは職務経歴書で伝わります。面接では、仕事への姿勢や人柄を存分に出すのがいい、という答えでした。自分が成長したい気持ちと、周囲や会社の役に立ちたい気持ち、その両方が大切です。経理の人は周りの役に立ちたい気持ちが強い一方、自分の成長への意欲はそれほど強くない人が多い、という見立てでした。

未経験で会計事務所に入りました。今後のキャリアをどう考えたらいいですか?

外から支える仕事を2〜3年続けると物足りなくなり、会社の中で当事者として経理を担いたくなる人が多い、という見立てでした。そこからキャリアを伸ばした人もいます。全員が同じ役職を目指す必要はなく、本人が望む働き方によって選択肢は変わります。

今は経理は人材不足ですか?

今も昔も、人材不足が続いています。

小さな会社から上場企業の子会社に転職し、1週間で、もっと積極的に発言するように言われました。

会社ごとの文化や仕事の進め方が関わります。社内チャットでの反応や文章の硬さにも、会社による違いがあります。基本的には自分から動く姿勢が評価されますが、具体的な助言には、会社や職場の状況をもう少し聞く必要があります。

次回のご案内

成長する会社での経理の仕事に関心がある方へ。10月10日(土)11時から「ベンチャーファイナンス【入門編】全3回シリーズ①」、11月7日(土)11時から「ベンチャーファイナンス【キャリア編】全3回シリーズ③」を予定しています。いずれも2026年、講師は齋藤和也です。

CuelLinkでは、経理の実務をテーマにしたLive授業を開いています。今回の授業もアーカイブでご覧いただけます。

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