自動化した仕事は、誰のアカウントで動いている?|中級コース【AI編】
講師:末廣修平 約5分で読めます

開催の背景
届いた請求書を保存して、表の入金状況を確かめる。毎月繰り返している作業を、AIで自動にできたら。そう思って試したあとには、「これを会社で使って大丈夫かな」という迷いも出てきます。
自分が休みの日も処理は進むのか。同僚が使っても同じように動くのか。AIと一緒にアプリを作れるようになると、日々の仕事を知っている経理だからこそ気づく問題が、ぐっと身近になります。いつもと違う請求書が届いたときや、担当者が交代するときにも関わる話です。
9月26日の中級コース第16回「はじめてのアプリを作る②+発表」は、講師の末廣修平さんと、作ったアプリを仕事で使うときの難しさまで掘り下げた回でした。決算、内部統制、管理会計、AI活用を学んできた短期集中ゼミの最終回です。

末廣 修平講師CuelAI講師。ソフトバンクで9年間、法人営業やネットワーク構築、社内DX・業務改善プロジェクトを経験。その後は経営支援会社の執行役員として、企業向けのAI・DX研修や業務改革を支援。生成AIを日々の仕事にどう取り入れ、業務改善につなげるかを実務に沿って伝えています。
この回でやったこと
自動化した仕事の裏側には、こんな仕組みがあります。
- PCを閉じていても、Google側で自動処理は動きます
- みんなで使う表でも、自動処理を設定した人のアカウントが消えると、止まることがあります
- AI秘書は短いあいさつから、用意された予定や仕事の情報を読み、今日やることを返してくれます
授業では、コミュニティに投稿された受講生のアプリに講師がコメントしたあと、Googleの表計算などを自動化するGASという仕組みを扱いました。入金状況を確かめる表の実演を見て、後半はClaude CodeというAIツールを秘書として使う体験へ。用意されたデモの情報で、各自の画面でも試しています。
扱ったテーマ
- 受講生のアプリと、開発中の工夫やエラーへの対応
- 請求書メールの選別で起こりうる例外
- 自動処理を動かすきっかけと、動いた記録・通知
- アカウントの権限と、情報が見える範囲
- 予定や日々の記録をもとに動くAI秘書
- 職場で使える道具に合わせた自動化
つまずきやすいポイント
普段と違う請求書が来たときに、処理の弱点が見える
いつものメールでうまく動いても、届き方が変わると困ることがあります。メールを選んで保存する受講生のアプリから、業務に紛れ込む例外が話題になりました。
ここで挙がったのは仮の例です。件名に「請求」と入っていても、添付されているPDFが請求書とは別の資料だったら。請求書が画像やExcelで届いたら。実際の業務を思い浮かべると、出てきそうな場面です。
AIには、伝えた内容をもとにプログラムを書いてもらえます。ただ、実際にどんなメールが来るかは、日々受け取っている人がよく知っています。「そういえば、こんな届き方もある」という経験が、アプリを仕事に合うものにしていく材料になります。
PCを閉じたあとも動く処理は、不調に気づきにくい
自分が操作していない間に進む仕事は、途中で止まっても、その場では気づきにくくなります。
入金状況をチェックするデモでは、表のメニューを押すと色が変わり、状態の欄が埋まり、集計も出てきました。目の前で動くと、何が変わったかがすぐ分かります。


GASには、時刻などをきっかけに自動で処理を始める機能もあります。こちらはPCを閉じていても、Googleのクラウド、つまりインターネット上の環境で動きます。
ただ、授業で挙がったのは、止まる心配だけではありません。想定外のタイミングで動いたり、同じ処理が何度も走ったりすることもあります。いつ動いて、成功したのか、失敗したのか。記録や通知をつけておくと、こうした不調に気づきやすくなります。
表を共有していても、自動処理は作った人に残ることがある
同僚が同じ表を開けるからといって、自動処理まで引き継がれているとは限りません。授業で説明された、担当者が退職する仮の場面です。
時刻などをきっかけに処理を始める設定は、それを作った人のアカウントで動き続けます。その人が退職し、アカウントが削除されたり、使えなくなったりすると、処理も止まることがあります。表を見ている同僚は変わらなくても、裏で動いているアカウントは別なのです。
また、アプリには、誰の権限で動かすかによって、使えなかったり、情報が見えすぎたりする難しさもあります。会社のアカウントで作るのか、個人のアカウントで作るのか。そこは会社にも確認しながら決めるところです。
AI秘書の返答は、渡してある情報やルールに左右される
短いあいさつで今日の予定が返ってくるのは、AIが仕事の事情を何もかも知っているからではありません。今回の体験には、予定や日々の記録、どう振る舞うかを定めた情報が、あらかじめ用意されていました。
実際の画面では、その日が休日であることを踏まえた返事が出てきました。大筋はみんな同じ返事でしたが、出てくる項目や形は、人によって少しずつ違いました。
必要な情報を選びながら仕事を進めるAIを、この回では「エージェント」として体験しました。AI秘書への短い呼びかけの裏には、参照する情報や動き方の準備があります。期待した返事が出ないときには、AIに何が伝わっているのかも関係しているのです。
質疑で出たこと
会社でGoogleのアカウントが使えない場合、自動化はどう考えればいいですか?
Microsoft側では、GASのようにアプリまで作ることは難しいです。ただ、パソコンに入れて使うExcelなら、マクロという方法があります。マクロは、転記や集計などの作業を自動で進めるためのプログラムです。ブラウザ版のChatGPTやClaude、Geminiでも、そのプログラムを作れます。授業のGASと比べると設定に手間はかかりますが、複数のExcelファイルを集計したり、データを照合したりする仕事にも使えます。
次回のご案内
中級コースは、この回で全カリキュラムを終えました。授業の最後には齋藤から、自動化で生まれた時間を、経営に役立つ情報を届ける仕事に使ってほしい、という話もありました。
CuelLinkのLive授業では、2026年10月10日(土)11時から「ベンチャーファイナンス【入門編】全3回シリーズ①」、10月24日(土)11時から「ベンチャーファイナンス【調達編】全3回シリーズ②」を予定しています。いずれも講師は齋藤和也です。
