きゅえるんだるん!今日は経理にとってちょっと落ち着かないニュースを持ってきたるん。税理士事務所や会計事務所の倒産が、今年の上半期に4件あったんだるん💡

税理士事務所が、倒産…? そういうのって、あまり聞かない気がします。

そうなんだるん。しかもこの4件、統計を取りはじめてから初めての水準なんだるん🔍 ただ、この話には続きがあってね。倒産よりずっと数の多い、別の止まり方があるんだるん。

東京商工リサーチが2026年7月24日、負債1,000万円以上の倒産を対象にした集計を公表しました。2026年上半期(1〜6月)の税理士・会計事務所の倒産は4件。内訳は税理士法人が2件、会計事務所が2件で、4件とも破産です。

まずこの4件を見て、そのあとに「別の止まり方」の話をします。


倒産4件は、この業界ではどれくらい珍しいのか

これまで税理士事務所の倒産は、半年でおおむね1〜2件で推移してきました。景気が悪くなっても件数がほとんど動かない、めずらしい業界です。

件数
これまでの半年あたり おおむね1〜2件
2026年上半期 4件
年間の最多(2009年・2015年) 5件

1993年以降で、上半期に4件というのは初めてです。年間の最多が5件ですから、今年は半年で、過去の一番多かった年に迫るペースということになります。

4件、それぞれ何があったのか

ひとつは東京都内の税理士法人で、給付金の不正受給を指南した容疑で当時の代表が逮捕され、法人を解散したあとに破産しています。もうひとつの税理士法人は、競合との競争のなかで赤字が続き、事業を続けられなくなりました。

東京商工リサーチは倒産とは別に、粉飾した決算書を使った融資で詐欺罪に問われ、懲役3年6か月の実刑判決を受けた税理士の例にも触れ、コンプライアンス面のリスクが以前より表に出やすくなっていると指摘しています。

残る会計事務所の2件は、経営が傾いたというより、前の代表が亡くなったこと、代表の体調が悪化したことが直接の理由でした。

ここがポイント

  • 2026年上半期の税理士・会計事務所の倒産は4件(税理士法人2・会計事務所2、いずれも破産)
  • これまでは半年で1〜2件。1993年以降、上半期4件は初めて
  • 内訳は、法令違反・赤字が2件、代表の死去・体調悪化が2件

ここからが本題。事務所が止まる形は、倒産だけではありません

倒産の数だけを見ていると「税理士事務所はめったに潰れない」という話になります。でも、事務所がなくなる形はもうひとつあります。廃業です。

倒産と廃業って、違うんですか?

まったく別ものだるん💡 倒産は、お金が回らなくなって破産などの法的な手続きに入ること。廃業は、そういう手続きを取らずに、事業をたたんで静かに閉じることだるん。借金を残して倒れるわけじゃないから、ニュースにもならないんだるん🔍

事務所がなくなる2つの形。倒産は、お金が返せなくなり裁判所の手続きに入る形でニュースになる(2026年上半期4件)。廃業は、手続きを取らずに静かに事業をたたむ形でニュースにならない。数が多いのは廃業のほう

そしてここが肝心なところです。帝国データバンクが2025年1月に公表した2024年の調査で、休廃業・解散した企業の割合を業種の細かい分類ごとに見たところ、いちばん高かったのが税理士事務所でした。

1年のあいだに閉じた割合が高い業種(2024年)。1位は税理士事務所5.61%、2位は社会保険労務士事務所と米穀類小売業がともに5.56%、4位は豆腐・油揚製造業5.25%。前年末の企業数に対する、その年に閉じた数の割合

100の事務所があれば、1年で5〜6が閉じている計算になります。

えっ、全業種で1位なんですか。倒産しにくい業界なのに…?

そう、そこがねじれて見えるところなんだるん🔍 でも理由を聞くと、たぶん納得すると思うるん。


倒産しにくいのに、廃業はいちばん多い理由

税理士事務所は、商品を仕入れて売る商売ではありません。コストの中心は人件費で、顧問料も毎月決まった額が入ってきます。お金の出入りが読みやすく、在庫を抱えて焦げつくこともない。だから、資金繰りに行き詰まって倒れる形にはなりにくい。

一方で、この仕事は税理士の資格を持つ人がいないと続けられません。資格は事務所ではなく個人についているからです。

そして今、その個人が高齢化しています。日本税理士会連合会が2024年4月に実施した第7回税理士実態調査によると、開業している税理士のうち60代以上が62.4%。前回の調査で最も多かった60代がわずかに減り、70代が大きく増えました。

後継者についてはさらにはっきりしています。後継者が「いない」と答えた割合は8割を超え、4割以上が「自分の代での廃業を予定している」と答えています。

借金で倒れるんじゃなくて、続ける人がいなくなって閉じる、ということですか。

そういうことだるん💡 だから廃業のほうは、経営が下手だったとか、無理をしたという話じゃないんだるん。今年の倒産4件のうち2件も、死去と体調悪化だったるんね。あれも同じ根っこだるん🔍

つまり、顧問の事務所が急に動けなくなるという出来事は、倒産のニュースを待つよりずっと高い確率で、静かな廃業として起こります。そしてそれは、これから増えることはあっても減る材料が見当たりません。

ここがポイント

  • 倒産=法的な手続きに入ること。廃業=手続きを取らずに事業をたたむこと
  • 2024年の休廃業・解散率は税理士事務所が5.61%で全業種の細分類中1位
  • 開業税理士の62.4%が60代以上。後継者が「いない」は8割超、4割以上が自分の代で廃業を予定
  • 事務所が止まる形は、倒産より廃業のほうが圧倒的に多い

顧問先として、いま確認しておきたいこと

ここからは経理の実務の話です。事務所が倒産であれ廃業であれ、こちらが困るのは同じで、いちばん痛いのは「自社の資料が自社にない」という状態です。次の4つを見ておきます。

顧問先として今のうちに見ておく4つ。申告書・決算書・元帳の控えが自社にあるか(直近3期分)、会計ソフトの契約名義は自社か事務所か、e-Taxの利用者識別番号を自社で持っているか、決算期に止まったときの相談先を知っているか。代替わりのときにも同じものが要る

帳簿と申告書の控えが、自社にあるか

法人税や消費税の申告書、決算書、総勘定元帳。これらの控えが自社のキャビネットやサーバーにあるか確認します。「先生のところにあります」だけの状態だと、事務所が止まった瞬間に手元がゼロになります。少なくとも直近3期分は自社に置いておきたいところです。

会計ソフトの契約名義が、どちらになっているか

クラウド会計を使っている場合、契約名義が事務所になっていることがあります。この場合、事務所が事業をやめると、アカウントごと止まったりデータが取り出せなくなったりします。名義が自社であれば、担当の税理士が変わってもデータはそのまま残ります。

契約画面の「契約者」や請求先を一度見ておいて、事務所名義なら自社名義に移せるかを聞いてみるといいです。

電子申告のIDを、自社で把握しているか

e-Taxの利用者識別番号と暗証番号は、事務所が代理で取得・管理していることがあります。番号そのものは自社のものなので、控えをもらっておきます。これがないと、次の税理士に引き継ぐときに一手間増えます。

決算の途中で止まったら誰に頼むか

いちばん困るのは、決算作業のさなかに事務所が止まることです。申告期限は待ってくれません。税理士会には無料相談の窓口があり、地域によっては紹介もしてくれます。「そういう窓口がある」と知っているだけでも、いざというときの動きが変わります。

どれも、ふだんは「先生に任せてあるから」で済ませていることばかりです…。

そうなんだるん。でもこの4つ、事務所に何かあったときのためだけじゃないんだるん💡 先生が代替わりするとき、担当者が代わるとき、自社で経理を内製するときにも、まったく同じものが必要になるんだるん。4割の事務所が自分の代で閉じると言っている以上、代替わりの場面はいつか必ず来るんだるん🔍

ここがポイント

  • 申告書・決算書・総勘定元帳の控えを直近3期分、自社に置く
  • 会計ソフトの契約名義を確認する(事務所名義ならデータごと止まるおそれ)
  • e-Taxの利用者識別番号を自社で把握しておく
  • 決算期に止まったときの相談先(税理士会の窓口)を知っておく

倒産4件というニュースは、数としては小さなものです。ただそれを入口に業界の中を見てみると、廃業率が全業種でいちばん高いという、もっと大きな事実がありました。

いま任せている先生に何か問題があるという話ではありません。誰に頼んでいても、代替わりはいつか来ます。そのときに自社の数字を自社の手元から出せるかどうか。準備しておけることは、それほど多くありません。

自分の会社の数字は、最後は自分の会社が持っている。これはどんな場面でも変わらない基本だるん✨


出典・参考リンク