06 7月 5月に届く住民税の通知書——経理がやるべき特別徴収の切替と給与計算への反映
5月に入ると、会社に届き始めるのが「特別徴収税額決定通知書」——住民税の通知書です。経理と給与計算を兼任している方にとっては、「そろそろあの封筒が届く季節だな」とソワソワする時期ではないでしょうか。
この通知書をもとに、6月の給与から住民税額を新しい金額に切り替える作業が必要です。一見シンプルですが、「金額の入力ミスが怖い」「中途入退社の対応がわからない」「従業員からの問い合わせにうまく答えられない」など、毎年つまずくポイントがある業務でもあります。
そもそも住民税の特別徴収とは?
住民税の特別徴収とは、会社が従業員の住民税を毎月の給与から天引きして、代わりに市区町村に納付する制度です。仕組みをざっくり整理すると:
- 住民税の金額は誰が決める?:市区町村が、前年(1月〜12月)の所得をもとに計算して決定
- 徴収期間:6月〜翌年5月の12回に分割
- 会社の役割:毎月の給与から天引きし、翌月10日までに市区町村に納付
つまり、毎年6月が「切替月」です。5月までの税額と6月からの税額は金額が変わるので、給与計算ソフトの更新が必要になります。
「特別徴収税額決定通知書」が届いたらやること
1. 通知書の種類を確認
- 特別徴収義務者用(事業所控え):会社で保管する分。全従業員の一覧
- 納税義務者用(従業員配布分):各従業員に配布する分。個人の税額明細
2. 対象者と金額を確認
- 在籍中の全従業員が記載されているか
- 退職済みの従業員が含まれていないか
- 前年中に転入した従業員分が届いているか(複数の市区町村から届くことがある)
3. 給与計算ソフトに新税額を反映
通知書に記載された月割額を、給与計算ソフトに入力します。
注意点:6月分(初月)とそれ以降(7月〜翌5月)で月額が異なる場合があることに注意。年税額を12で割り切れない場合、端数が6月に上乗せされるためです。freee人事労務やマネーフォワード給与などを使っている場合は、6月分と7月以降の2つの金額を入力する欄があるはずです。
4. 従業員に通知書を配布
「納税義務者用」の通知書を各従業員に配布します。最近は圧着ハガキ形式やeLTAX経由の電子通知に切り替わりつつあります。
中途入退社がある場合の対応
退職者の場合
退職月によって対応が変わります。
- 1月〜4月に退職:残りの住民税を最終給与から一括徴収(義務)
- 5月に退職:5月分を最終給与から徴収
- 6月〜12月に退職:一括徴収 or 普通徴収への切替を選択
いずれの場合も、市区町村に「給与所得者異動届出書」を翌月10日までに提出します。
中途入社者の場合
前職から「異動届出書」が届いた場合は、記載の残税額を引き継いで特別徴収を開始します。届かない場合は、従業員の住所地の市区町村に「特別徴収への切替申請書」を提出します。
従業員からよくある問い合わせと対応
「去年より住民税が高いのですが…」
住民税は前年(1月〜12月)の所得に基づいて計算されます。昇給・賞与増・副業収入があった場合は住民税が上がります。「税額の決定は市区町村が行っており、会社で変更することはできません」と案内しましょう。
「ふるさと納税の控除が反映されていません」
通知書の「税額控除額」の欄にふるさと納税の控除額が含まれているか確認します。反映されていない場合は、従業員自身が市区町村に問い合わせる必要があります。
こうした問い合わせは毎年同じ内容が多いので、FAQ形式で社内に共有しておくと対応がラクになります。
よくある質問
Q. 通知書に記載のない従業員がいます
前年中に転居している場合、住所地の市区町村が変わっているため、旧住所の自治体から届いている可能性があります。複数の市区町村からの通知書を突き合わせて確認しましょう。
Q. 住民税の納付が遅れたらどうなる?
延滞金が発生します。納付期限は翌月10日です。うっかり忘れを防ぐため、口座振替やeLTAXのダイレクト納付の設定をおすすめします。
「毎年なんとなくやっている」を卒業しよう

住民税の切替作業は毎年やってくるルーティンです。仕組みを理解してしまえば難しくはありませんが、中途入退社の対応や従業員からの問い合わせなど、「知っていないと対応できない」場面は意外と多いものです。
給与計算業務は、単なるデータ入力ではなく、会社の人件費構造を理解する入口でもあります。「従業員一人あたりの人件費コストはいくらか」「社会保険料と住民税を含めた総コストは」——こうした視点を持てると、経理としての仕事の幅がぐっと広がります。
CuelLinkは、経理実務で「今まさに必要な知識」を学べるオンライン学習プラットフォームです。給与計算プロセスや社会保険の実務知識を、動画レッスンと実務ガイドで体系的に身につけることができます。フリープランなら無料で始められます。
日々の業務で「これで合ってるのかな…」と感じている方は、CuelLinkの無料スキル診断で、あなたの実務スキルの現在地を確認してみてください。登録不要・約3分で診断できます。