きゅえるんだるん!今日はニュースを経理の目で読むるん。Google(グーグル)の親会社アルファベットの決算が、7月22日に出たんだるん💡 数字を見た瞬間、経理なら思わず二度見するやつだったるん🔍

アルファベットって、世界でいちばん有名なくらいの会社ですよね。そんなに変わった数字だったんですか?

売上高が約1,198億ドル。そして当期純利益が約1,121億ドル。ほぼ、同じなんだるん。

えっ、売上と純利益がほぼ同額…?うちの感覚だとありえないです。売上のほとんどが、そのまま利益になってるってことですよね。

この四半期(4〜6月)の売上高は1,198億ドル。当期純利益は1,121億ドルでした。差はわずかで、純利益は売上の9割を超えています。

素直に受け取れば「異常」です。でも中身を分解していくと、経理として学べることが、いくつも詰まっていました。順番に開いていきます。


まず、損益計算書は上から順に利益を計算していく

そもそも、売上と純利益って、どのくらい差が出るのが普通なんでしたっけ。

いい入り口だるん。損益計算書(P/L)は、上から下へ、費用を引いたり収益を足したりしながら、段階ごとに利益を出していくんだるん🔍

損益計算書は、売上高を一番上に置いて、そこからいろんな費用を引きながら下へ進みます。

  • 売上高から、商品やサービスの原価を引くと「売上総利益(粗利)」
  • そこから、人件費や広告費などの販管費を引くと「営業利益」
  • さらに、本業以外の損益(受取利息や株の評価損益など)を足し引きし、税金を引いて、最後に残るのが「当期純利益」

差し引く費用の段のほうが多いので、基本は下に行くほど数字は小さくなりがちです。純利益は、多くの会社で売上の数パーセント、良くて十数パーセントに落ち着きます。

ただし、いつも小さくなる一方とは限りません。「本業以外の損益」のところで、受取利息や株の値上がり益といった収益が入ると、逆に利益がふくらむこともあります。

売上とほぼ同額の純利益、というのは、この引き算のどこかで、大きく利益を足す何かが起きた形跡です。

下に行くほど小さくなるはずなのに、一番下でほぼ元の大きさに戻っている。どこかで一回、大きく足したということですよね。

そのとおりだるん💡 どこで足したのか。それを探すには、まず営業利益を見るのが早いんだるん。


本業(営業利益)は、むしろ絶好調だった

アルファベットの営業利益は、約408億ドル。前の年の同じ時期から、30%伸びました。

ここで一つ、経理として押さえておきたい点があります。売上の伸びは24%でした。営業利益の伸び(30%)が、売上の伸び(24%)を上回っている。これは、売上が増えた以上に、利益率そのものが良くなったという意味です。

売上の伸びより、利益の伸びが大きい。規模が大きくなって、効率も上がっている、ということですね。何がそんなに効いたんですか?

クラウド事業だるん🔍 グーグルのクラウド(企業向けにサーバーやAIを貸す事業)が、売上を1年で82%も伸ばしたんだるん。しかも、その事業のもうけ方が大きく変わったんだるん💡

グーグルのクラウド事業は、この1年で、営業利益が約28億ドルから約88億ドルへと3倍以上に増えました。売上に対する営業利益の割合(利益率)も、20.7%から35.6%へ跳ね上がっています。

規模が大きくなるほど1件あたりのコストが薄まって、利益率が上がる。教科書どおりの「スケールが効いた」状態です。

つまり、本業そのものは「たまたま良かった」のではなく、実力で伸びていました。売上から営業利益までは、健全な決算です。

ということは、営業利益の408億ドルまではまっとうなのに、そこから純利益の1,121億ドルまでの間で、700億ドル以上ふくらんでいる…。営業利益から下で、何が起きたんですか?

そこが今日の本題だるん✨ 営業利益より下にある「本業以外の損益」で、けた違いの利益が乗ったんだるん。


営業利益から純利益までの間で、980億ドルが乗った

営業利益(本業のもうけ)と当期純利益(最後に残るもうけ)の間には、「本業以外の損益」が入ります。

アルファベットはこの四半期、ここで純額プラス約980億ドルという利益を計上しました。本業の営業利益408億ドルを、はるかに上回る大きさです。

売上とほぼ同額の純利益をつくったのは、本業ではなく、この一行でした。

アルファベットの売上高・営業利益・株の評価益・当期純利益をウォーターフォールで示した図。営業利益まで下がった後、株の評価益990億ドルで跳ね上がり、純利益が売上高とほぼ同じ高さに戻る

本業以外で980億ドルの利益って、何をしたらそんなことに…。何かを売ったんですか?

売ってないんだるん。ここが今日いちばん大事なところだるん💡 持っている株式の「評価益」なんだるん。

アルファベットは、他の会社の株式をたくさん持っています。この四半期、その保有株の値段が大きく上がり、株式の評価益が純額で約990億ドル発生しました。これが「本業以外の損益」の中身の大半です。

主役は、生成AIの会社アンソロピック(Anthropic)です。アルファベットはこの会社に約14%出資しています。そのアンソロピックの企業価値評価が、この四半期のうちに約3,800億ドルから約9,650億ドルへ、およそ2.5倍に跳ね上がりました。

持っている株の値札が2.5倍になった分だけ、利益が乗った。会社の説明でも、この株式評価益が税引き後の純利益を約771億ドル、1株あたり利益を6.26ドル押し上げた、と明かしています。

値上がりした分を、利益として計上している…。でも、まだその株を売って現金にしたわけじゃないですよね?

そこに気づけたら、もう経理の目だるん✨ これは「未実現利益」なんだるん。


「未実現」=まだ現金になっていない利益

未実現利益とは、まだ売っていない資産の、帳簿の上だけで生まれた利益のことです。

持っている株の値段が上がれば、決算書には利益として乗ります。でも、実際に売ってお金を受け取ったわけではありません。手元の現金は、この評価益では1円も増えていません。

そして未実現ということは、逆も同じように起こります。来期にアンソロピックの評価が下がれば、今度は同じ場所に「評価損」が立ち、純利益を大きく押し下げます。今回の巨大な利益は、それくらい振れやすい性質のものです。

日本の会社の決算で、こういう「持っている株の含み益」を利益にしているのは、あまり見た記憶がないんですが…。

鋭いだるん🔍 実は、そこは日本とアメリカでルールが違うんだるん。

実はここが、今回の決算のいちばんの読みどころです。同じ「株の含み益」でも、日本の会計基準(日本基準・JGAAP)とアメリカの会計基準(米国基準・US-GAAP)とで、決算書に載せる場所が違います。

日本基準では、こうした保有株の含み益(その他有価証券の評価差額)は、原則として損益計算書の利益には入れません。貸借対照表の純資産に「その他有価証券評価差額金」として直接入れておき、実際に売って初めて損益計算書の利益にします。だから日本の会社では、株が値上がりしても、それだけで純利益がふくらむことは基本ありません。

いっぽう米国基準では、保有株の評価の増減を、売る前でもその期の損益計算書に反映させます。値上がりした期はそのまま純利益が増え、値下がりした期はそのまま純利益が減ります。

アルファベットは米国基準です。だから、アンソロピック株の含み益がまるごと純利益に乗り、売上とほぼ同額という派手な数字になりました。もし同じ決算を日本基準で作っていたら、この990億ドルは純利益には入らず、純資産にそっと積まれるだけだった、ということです。

同じ会社の同じ四半期でも、どの国のルールで作った決算書かで、純利益の顔つきが変わります。海外企業の決算を読むときの、地味だけれど大事な注意点です。

帳簿の上では過去最高益。でもその大部分は、まだ売っていない株の値上がり。数字の派手さと、実際に入ってきたお金は、別物なんですね。

そこがまさに次の話だるん🔍 じゃあ、この四半期に現金は増えたのか。見に行くるん。


純利益は過去最高。でも現金は、出ていっていた

損益計算書とは別に、お金の実際の出入りを記録するのが「キャッシュフロー計算書」です。利益ではなく、現金そのものの動きを見る書類です。

アルファベットのこの四半期を、お金の出入りで見ると、こうなります。

  • 本業で生み出した現金(営業キャッシュフロー):約391億ドル
  • AIのデータセンターなどへの設備投資:約449億ドル

本業はちゃんと391億ドルの現金を生んでいます。ところが、それを上回る449億ドルを設備投資に使いました。差し引きすると、手元に自由に残る現金(フリーキャッシュフロー)は、約59億ドルのマイナスです。

前の年は、どうだったんですか?

そこが効くんだるん💡 1年前の同じ時期は、プラス53億ドルだったんだるん。それが今回、マイナス59億ドルへ。1年で、真逆にひっくり返ったんだるん🔍

しかもこのマイナスは、グーグルが2004年に上場して以来、四半期として初めてのことです。

では、なぜ黒字なのに現金が出ていくのか。理由は、設備投資が1年で倍以上にふくらんだからです。AIのデータセンターに、それだけの現金を注ぎ込みました。

ここに、経理としてぜひ押さえておきたい仕組みが2つあります。

利益は黒字なのに現金は出ていく二重のからくりを、2つの器で示した図。左の利益の器は過去最高で満杯、右の現金の器は空でひび割れから漏れ、フリーCFはマイナス59億ドル。株の評価益は利益にだけ入り現金にはならず、現金はAIデータセンター投資へ出ていく

からくり①:評価益は、利益を増やすが現金は増やさない

さっきの株式評価益990億ドルは、純利益を大きくふくらませました。でも株は売っていないので、現金は入ってきていません。利益は増えたのに、お金は増えていない。

からくり②:設備投資は、現金を減らすが利益はすぐには減らさない

449億ドルの設備投資は、買った瞬間に現金が出ていきます。でも、この449億ドルは、買った期に全額が費用になるわけではありません。建物や設備は「固定資産」として計上し、使う年数にわたって、減価償却で少しずつ費用にしていきます。

だから、設備投資をしても、その期の利益は449億ドルまるごとは減りません。利益はあまり傷まないのに、現金は先に、丸ごと出ていく。

利益を増やした評価益は現金にならず、現金を減らした設備投資は利益にすぐ効かない…。だから、純利益は過去最高なのに、現金は減っている。二重に、利益とお金がずれているんですね。

きれいに整理できたるん✨ 「利益が黒字か」と「現金が増えたか」は、まったく別の質問なんだるん。決算書は、その2つを別々に見るためにできているんだるん。


経理が決算を読むときの、順番

世界一有名な会社の決算でも、数字の大きさに驚くだけだと、読み違えそうです。

だからこそ、見る順番を持っておくといいんだるん🔍 これは、自分の会社の決算を見るときも、まったく同じだるん。

今回の決算は、そのまま経理の練習問題になります。純利益の額に驚く前に、この順番で分解する。

  • まず営業利益を見る。本業でどれだけ稼いだか(今回は408億ドル、しかも前年比30%増で好調)
  • 次に、営業利益と純利益の差を見る。今回は「本業以外の損益」の株式評価益で、しかも未実現=まだ現金になっていない
  • 最後に、キャッシュフローで現金の動きを確かめる。利益が黒字でも、現金は出ていっていることがある(今回はまさにそれ)

利益の「額」ではなく、利益が「どこで、どうやって生まれたか」を見る。そして、利益とは別に、現金がちゃんと増えているかを見る。この2つの目があれば、派手な数字にも、地味な数字にも、振り回されずに済みます。

ここがポイント

  • アルファベットのQ2は売上約1,198億ドル、純利益約1,121億ドルでほぼ同額。純利益率9割超という異常値
  • 本業の営業利益は約408億ドルで前年比30%増。売上の伸び(24%)を上回り、クラウドが牽引して利益率も改善。本業はむしろ好調
  • 純利益を押し上げたのは、営業利益より下の株式評価益 約990億ドル(大半はアンソロピック株の値上がり)。ただし未実現=まだ売っておらず現金にはなっていない
  • キャッシュフローで見ると、設備投資(約449億ドル)が営業CF(約391億ドル)を上回り、フリーキャッシュフローは約59億ドルの赤字。前年のプラス53億ドルから転落し、上場以来はじめての四半期マイナス
  • 「利益とお金のずれ」は二重。評価益は利益を増やすが現金にならず、設備投資は現金を減らすが利益にすぐ効かない
  • 経理の読む順番は「営業利益 → 純利益との差の中身 → キャッシュフロー」。額でなく、どこで生まれた利益かと、現金が増えたかを見る

決算書の数字は、大きいほど、正しく分解する力が要ります。今回のアルファベットは、その最高の教材でした。売上とほぼ同額の純利益という派手な見た目の裏で、本業・評価益・現金の3つが、まったく違う顔をしていました。


出典・参考リンク