3月決算の会社は、法人税の申告期限が原則5月31日です。延長を届け出れば6月30日まで延ばせますが、納付も一緒に延びるかわりに、延ばした日数だけ利子税がかかります。決算の確定と申告準備が重なる4月〜5月に、何をいつまでにやるかを順に整理します。
決算を少ない人数で回す職場では、日常の仕訳業務をこなしながら決算整理仕訳を入れ、税理士に渡す資料を準備し、同時に消費税の申告にも対応することになります。2か月で全部が重なります。この記事では、「何をいつまでにやるべきか」を順に整理します。
法人税の申告期限を確認する
原則:事業年度終了後2ヶ月以内
法人税の確定申告書は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出します。3月決算の場合、5月31日が申告・納付期限です(国税庁(C1-1 法人税、地方法人税及び防衛特別法人税の申告))。
延長申請をしている場合
「申告期限の延長の特例」を届け出ている場合は、申告期限が6月30日まで延びます(国税庁(C1-17 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請)、法人税法75条の2)。
このとき納付期限も一緒に延びます。6月30日に納めても滞納にはなりません。ただし、延ばした日数に応じて利子税がかかります(国税庁(通算法人の確定申告書に係る法人税の納付期限の延長))。無料で1か月延ばせるわけではない、ということです。
そのため実務では、本来の期限である5月31日までに見込みの金額を納めておき、申告書だけを6月末までに出す流れが一般的です。
自社が延長の届出をしているかどうかは、過去の届出書で確認できます。わからない場合は税理士に確認するのが確実です。
申告までのスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 4月上旬 | 月次決算の確定、決算整理仕訳の洗い出し |
| 4月中旬 | 減価償却費の計算、引当金の計上、税効果会計の処理 |
| 4月下旬 | 決算書(B/S、P/L)のドラフト作成、税理士に資料を送付 |
| 5月上旬 | 税理士から申告書ドラフト受領、内容確認 |
| 5月中旬 | 代表者の押印・承認、電子申告の準備 |
| 5月下旬 | 申告書の提出、法人税・消費税の納付 |
日常業務と決算を同じ人が担う職場では、4月上旬からの準備が肝心です。日常業務と並行になるため、「決算でしかやらない作業」のリストを事前に洗い出しておくと漏れを防げます。
経理担当者が準備すべき資料
税理士に渡す決算資料
- 総勘定元帳
- 試算表(決算整理後)
- 固定資産台帳(当期の増減)
- 売掛金・買掛金の残高明細
- 借入金の返済予定表
- 棚卸資産の明細(在庫がある場合)
- 役員報酬の議事録(定期同額給与の確認)
- 交際費の明細
- 寄付金がある場合はその明細
税理士事務所・会計事務所のスタッフの方は、クライアントからこれらの資料をスムーズに回収するために、早めに依頼リストを送っておくのがおすすめです。
消費税の申告も同時に行う
法人税と同じタイミングで消費税の確定申告も必要です。こちらも課税期間の終了の日から2か月以内で、法人税の延長特例を届け出ていれば1か月延びます(国税庁(No.6610 法人に係る消費税の確定申告書の提出期限について))。特に注意すべきポイント:
- 課税売上割合の計算(95%以上か未満かで処理が変わる)
- インボイス制度下での仕入税額控除の確認
- 簡易課税を選択している場合の確認
消費税の区分経理は日々の仕訳の積み重ねです。決算時にまとめて対応しようとすると大変なので、日頃から「課税」「非課税」「不課税」の区分を意識した仕訳を心がけましょう。
よくあるミスと対策
ミス1:減価償却の計上漏れ
当期に購入した固定資産の登録漏れや、償却方法の設定ミスがよくあります。固定資産台帳と総勘定元帳の金額を照合しましょう。
ミス2:交際費の損金不算入の計算ミス
資本金1億円以下の法人は年間800万円まで交際費を損金算入できますが、それを超える部分は申告加算が必要です(国税庁(No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算))。交際費の集計は早めに行いましょう。
なおこの800万円の特例は、令和9年3月31日までに開始する事業年度が対象です(租税特別措置法61条の4)。3月決算なら2026年4月に始まる期までは対象で、その次の期からは改正がなければ使えません。
ミス3:消費税の区分経理ミス
課税・非課税・不課税の区分を間違えると消費税額が変わります。特にインボイス制度開始後は、適格請求書の有無で仕入税額控除の可否が変わるため注意が必要です。
判断に迷う場合は、必ず税理士に確認しましょう。自社の顧問税理士がいない場合でも、スポットで相談できるサービスもあります。
よくある質問
Q. 決算が間に合わない場合はどうすればいい?
「申告期限の延長の特例」を事前に届出していれば1ヶ月延長できます。届出していない場合は、期限内に概算で申告・納付し、後日修正申告を行う方法もありますが、延滞税が発生するリスクがあるため、早めに税理士に相談しましょう。
Q. 法人税はどうやって納付する?
主な納付方法は以下の通りです。
- e-Tax(電子納税):事前に届出をしておけば、口座振替で納められるダイレクト納付が便利(e-Tax(ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)による納税手続))
- 銀行窓口での納付
- クレジットカード納付(決済手数料あり)
法人税は国税なので e-Tax を使います。法人住民税・法人事業税は地方税で、そちらは eLTAX です。
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