3月決算企業の法人税申告|経理担当者が押さえるべき実務ポイントと期限

3月決算企業の経理担当者にとって、4月〜5月は年間で最も忙しい時期です。決算の確定作業と並行して法人税の申告準備を進めなければなりません。

少人数の経理体制だと、日常の仕訳業務をこなしながら決算整理仕訳を入れ、税理士に渡す資料を準備し、同時に消費税の申告にも対応する——まさに怒涛の2ヶ月です。この記事では、経理担当者の実務目線で「何をいつまでにやるべきか」を整理します。

法人税の申告期限を確認する

原則:事業年度終了後2ヶ月以内

3月決算の場合、5月31日が申告・納付期限です。

延長申請をしている場合

「申告期限の延長の特例」を届出している場合は6月30日まで延長されます。ただし、納付期限は延長されない点に注意してください。5月末までに見込み納税を行い、申告書は6月末までに提出するという流れです。

自社が延長申請をしているかどうか、過去の届出書を確認しておきましょう。わからない場合は税理士に確認するのが確実です。

申告までのスケジュール

時期 やること
4月上旬 月次決算の確定、決算整理仕訳の洗い出し
4月中旬 減価償却費の計算、引当金の計上、税効果会計の処理
4月下旬 決算書(B/S、P/L)のドラフト作成、税理士に資料を送付
5月上旬 税理士から申告書ドラフト受領、内容確認
5月中旬 代表者の押印・承認、電子申告の準備
5月下旬 申告書の提出、法人税・消費税の納付

少人数体制の場合、4月上旬からの準備が肝心です。日常業務と並行になるため、「決算でしかやらない作業」のリストを事前に洗い出しておくと漏れを防げます。

経理担当者が準備すべき資料

税理士に渡す決算資料

  • 総勘定元帳
  • 試算表(決算整理後)
  • 固定資産台帳(当期の増減)
  • 売掛金・買掛金の残高明細
  • 借入金の返済予定表
  • 棚卸資産の明細(在庫がある場合)
  • 役員報酬の議事録(定期同額給与の確認)
  • 交際費の明細
  • 寄付金がある場合はその明細

税理士事務所・会計事務所のスタッフの方は、クライアントからこれらの資料をスムーズに回収するために、早めに依頼リストを送っておくのがおすすめです。

消費税の申告も同時に行う

法人税と同じタイミングで消費税の確定申告も必要です。特に注意すべきポイント:

  • 課税売上割合の計算(95%以上か未満かで処理が変わる)
  • インボイス制度下での仕入税額控除の確認
  • 簡易課税を選択している場合の確認

消費税の区分経理は日々の仕訳の積み重ねです。決算時にまとめて対応しようとすると大変なので、日頃から「課税」「非課税」「不課税」の区分を意識した仕訳を心がけましょう。

よくあるミスと対策

ミス1:減価償却の計上漏れ

当期に購入した固定資産の登録漏れや、償却方法の設定ミスがよくあります。固定資産台帳と総勘定元帳の金額を照合しましょう。

ミス2:交際費の損金不算入の計算ミス

資本金1億円以下の中小企業は年間800万円まで交際費を損金算入できますが、それを超える部分は申告加算が必要です。交際費の集計は早めに行いましょう。

ミス3:消費税の区分経理ミス

課税・非課税・不課税の区分を間違えると消費税額が変わります。特にインボイス制度開始後は、適格請求書の有無で仕入税額控除の可否が変わるため注意が必要です。

判断に迷う場合は、必ず税理士に確認しましょう。自社の顧問税理士がいない場合でも、スポットで相談できるサービスもあります。

よくある質問

Q. 決算が間に合わない場合はどうすればいい?

「申告期限の延長の特例」を事前に届出していれば1ヶ月延長できます。届出していない場合は、期限内に概算で申告・納付し、後日修正申告を行う方法もありますが、延滞税が発生するリスクがあるため、早めに税理士に相談しましょう。

Q. 法人税はどうやって納付する?

主な納付方法は以下の通りです。

  • eLTAX(電子納税):ダイレクト納付が便利
  • 銀行窓口での納付
  • クレジットカード納付(手数料あり)

決算業務は「会社の1年を振り返る」仕事

決算・申告業務は毎年やってくるものですが、「数字を税理士に渡して終わり」ではもったいないのが本音です。

決算作業を通じて、1年間の売上推移、経費の構造、利益率の変化——会社の業績の全体像が見えてきます。これは日次・月次の業務だけでは得られない「経営を俯瞰する視点」です。少人数体制で決算を回している方は、それだけで貴重な経験を積んでいることを忘れないでください。

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